肝臓内科|田中内科クリニック|吹田市古江台の内科・消化器内科・肝臓内科・小児科

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肝臓内科

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肝臓内科

健康診断等で「肝臓の数字が高い」と言われ、様子をみていいものやら、どこに相談すれば良いのかと考えることがあるかもしれません。肝機能障害の原因は様々ですが、肝機能の異常があってもなかなか症状が出ない(無症状)ことが多い臓器です。

血液検査、腹部エコー等で原因の可能性や急ぎでの対処が必要なのか判断し、その後の診断や対応方法についても確認もしていきます。

一度ご相談いただければと思います。

原因としては、ウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎、薬剤性肝炎や自己免疫性肝炎と代表的がありますが、時に胆石や腫瘍性の変化にて生じることもあります。代表的な疾患の概要をお示しします。

B型慢性肝炎

B型慢性肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって起こる病気です。

HBVは血液感染および性交渉などにより感染しますが、持続感染者のほとんどは生後早期に感染したケースです。しかし現在日本では40歳以下の方では、出生前のスクリーニング・予防接種が確立しているのでいわゆる“キャリア”と言われる状態の患者様はほとんどいません。

出生後から成人での感染の方は、感染後約90%の患者様は急激な急性肝炎を経て、一部稀ではあるが10%程度で慢性肝炎に移行することがあります。

一般に肝炎の症状としては食欲低下や悪心(おしん)などの消化器症状、倦怠感(けんたいかん)、黄疸(おうだん)が主なものですが、急性肝炎と異なり、慢性肝炎では徐々に肝臓が破壊されていくため自覚症状が出ないことがほとんどです。

ただし、持続感染者のなかでも肝炎が急速に進行(急性増悪(ぞうあく)、劇症化(げきしょうか))することがあり、このような場合には自覚症状が出現しますので注意が必要です。また慢性肝炎が進み、10-15年といった病期を経て、肝硬変へ移行することもあります。進行した肝硬変になると腹水が貯留して腹部膨満感が出現したり、黄疸が認められたりすることがあります。

慢性肝炎の患者様の治療については、抗ウイルス療法を行い、慢性的な肝機能障害が起きないように長期にわたり管理することが必要になります。またHBVウイルスキャリアの方、慢性B型肝炎の方は、発癌に対しても注意が必要となります。定期的な腹部エコーや腹部CT検査でのスクリーニングをお勧めします。

C型慢性肝炎

C型肝炎ウイルス(HCV)に感染し、肝機能の異常が持続的に続く病気です。

ウイルスに感染後、急性肝炎を発症しても、ほとんど症状は現れません。しかし、無治療だとB型肝炎に比べると慢性化率が高く、約70%でウイルスは排除されず持続感染に移行します。

この状態になると自然治癒するのは極めてまれで、大部分の人が慢性肝炎になります。

C型慢性肝炎の場合、自覚症状がほとんどないのが特徴です。血液検査等で肝機能異常を指摘した場合は、ウイルス肝炎のチェックが必須となります。

C型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎が起こり、時に全身倦怠(けんたい)感に引き続き食欲不振、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)などの症状が出現することがありますが、症状が出ることは少なく、そのまま慢性化する人がほとんどです。しかし、進行し10−15年の経過で肝硬変に至ると、手掌紅斑(しゅしょうこうはん)、クモ状血管腫、女性化乳房などが認められることがあり、非代償期(ひだいしょうき)肝硬変には、浮腫(ふしゅ)、腹水(ふくすい)、黄疸(おうだん)、食道・胃静脈瘤(じょうみゃくりゅう)、肝性脳症(かんせいのうしょう)などの合併症が現れることがあります。

現在は内服でのDAA治療(Direct Acting Antivirals治療)が導入され、内服での95%以上を超える寛解率を達成できる状況となっております。

治療後に肝がんを発症するまれなことも知られており、治療後も定期的なエコーやCT検査等は行うことをお勧めします。

自己免疫性肝炎

外敵から自分の体を守るために活躍してくれている免疫システムですが、自分の細胞を外敵とみなし攻撃を始める、いわゆる“自己免疫疾患”が肝臓にて起こることがあります。自身の免疫反応が深く関与して発症する慢性的な肝炎を自己免疫性肝炎と呼びます。

自己免疫性肝炎の発病は一般的には緩やかであり、症状も軽微なことが多いとされていますが、治療を行わないと肝硬変に進行することがあります。幸いなことに、多くの患者様でステロイド薬によりその進行を止めることが可能な場合が多いので、病気の早期診断・早期治療が大切です。

肝機能障害の原因検索をさせていただく際には、血液検査にて自己抗体の存在の有無をチェックし診断を行いますが、時には確定診断のために連携の専門病院と相談し、肝生検を必要とすることがあります。

慢性肝炎に移行している自己免疫性肝炎の治療については、ステロイドや免疫調節剤を使用することが一般的です。

脂肪肝(NASH(脂肪肝炎)、NAFLD(非アルコール性脂肪肝炎))

日本では9-30%で報告されており、肥満・糖尿病・脂質異常症と伴う疾患の増加と共に増加傾向にある。NAFLDはアルコールを除く色々な原因で起こる脂肪肝の総称です。

非アルコール性とアルコール性の境界は、一日あたり純エタノールとして、男30g以上、女性では20g以上のお酒を飲み続けることです。

  • ビールでは 男性 750ml (大瓶1本)
  • 日本酒では1合半
  • ワインなら2杯半
  • ウイスキーはダブルで1杯半に相当

多くの脂肪肝炎の人は脂肪肝のままで進行はしないですが、10-20%の人は悪化して肝硬変に進行したり、肝がん発症に関与することもあります。

治療に関しては、NAFLDは肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧を伴うことが多く、原則食事療法・運動療法などで生活習慣を改善することです。具体的な数値目標として、わかりやすいものでは肥満がある場合は体重の7%減量(90kgの人でマイナス6kg)を目標とします。それぞれの基礎疾患に対しては、それぞれの薬物療法等を行なっていただくことになります。

アルコール性肝障害

アルコールの過剰摂取で最初に生じるのはアルコール性脂肪肝です。NAFLD/NASHの項目でも述べたとおり、一日あたり純エタノールとして、男性30g以上、女性では20g以上のお酒を飲み続ける状態にあれば、肝障害の原因としてはアルコール性が原因と考えられる状態になります。それでもなお大量飲酒を続けると、約2割の人にアルコール性肝障害が起こります。

アルコール性肝障害のなかには、肝性脳症(かんせいのうしょう)、肺炎、急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)、消化管出血などの合併症やエンドトキシン血症などを伴い、1カ月以内に死亡する重症型アルコール性肝炎と呼ばれる病態があります。幸い重症化しない場合でも、長期に大量飲酒を続けるとアルコール性肝線維症(かんせんいしょう)をへて、アルコール性肝硬変(かんこうへん)になることがあります。

飲酒の機会は男性に多いのですが、同じ量の長期大量飲酒だと女性のほうに早く肝障害が現れることがわかっていますので、注意が必要です。また、ウイルス性肝炎を合併している場合にはすみやかに肝硬変に進行し、肝細胞がんを合併しやすいので注意が必要です。

薬剤性肝障害

肝障害が以前にも指摘されたり等がない場合は、まず第一に最近の内服開始歴や薬剤の変更歴等を聞かせていただくことになります。病院・クリニックで処方されたもの以外でも、市販のサプリメントや漢方薬等でも肝障害の原因となることがあるので、注意が必要です。

副作用を生じる人は特定の薬物に対する感受性が高いのですが、最初に使用する前に副作用が生じることを予測することは困難です。

疑わしい薬剤を一旦中止させていただき、経過観察、期間をあけての血液検査の再検査をさせていただきます。

原発性胆汁性胆管炎 (PBC)

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、まれな疾患となりますが、自己免疫性肝炎と同様自己免疫が関与する原因不明の疾患です。中年の女性に発生することが多い傾向のある疾患です。

疾患としては進行が遅い疾患ですが、診断には肝生検を必要とします。現在はっきりとした原因がわかっていないことからも難病指定となる疾患になりますので、疑った際には連携する病院での精査等の段取りをさせていただきます。